vol.5 英語コーチング、受講中の勉強時間について
先日、某英語コーチングを展開している会社の方とお話しする機会があって、こんなことを言っていました。
「昔と違って今は、市販の教材のクオリティがとても高いから、時間さえかけることができれば、英語は上達できます。
だから、私たちコーチがやってあげることは、生徒さんが毎日勉強を続けられるよう、励ましたり環境をつくってあげることなんです。」
純粋に驚きました。
同じ「英語コーチ」でも、ここまで時間に対する意識が違うのだということ。
というのは、今まで時間が足りなかったり、長く集中が続かなかった英語をどうにかしてあげるのがコーチングだと思っていたからです。
生徒さんは、時間は取りたいけど取れない。 英語の勉強がつまらないから続かない。という悩みを抱えてコーチングを受けにくる。
それを、
「時間さえかければ上達できます。」なんて、
なんてストレートな答えなのでしょうか。
今までそれができないから、困っていたのです!
コーチは、勉強時間を少なくできる、かつ、効果がある学習方法を取り入れるべきです。
加えて、その効果が実感しやすい方法だとモチベーションが保ちやすくていいと思います。
ひとつ例を出すと、単語の学習は単語帳でやらないほうがいいと思っています。
あれは、まず楽しくない上に、たくさん似たような言葉が出てくる段階でこんがらがってくる。
加えて、どのような文脈で使われるかが分かりにくいので、ニュアンスを間違って覚えて、後から覚え直すことになったり、そもそもどういった場面で使うのかイメージが沸かないまま頭の中にだけ入っているということになります。
単語帳は、会話の中でもよく出てくる中学単語、高校単語くらいまでを覚えるのには悪くないです。会話のなかで実際の使われ方を補完できるので。けれど、それ以上のレベルになって、ほとんど使わないような言葉をひたすら覚えていくというのは、苦痛でしかありません。
「vulnerability - [名] 弱み どこで使うんだろうな。。」
なんて、
少なくとも、私は絶対にやりたくない(笑)
私は単語帳が嫌いです。
自分がやりたくもないことを「時間をかければ上達できます。」なんて言って生徒さんに指示を出す。そんなことはしたくないし、 それを「英語コーチング」と呼ぶのは、ちょっと違うなと感じたのです。
それは単語だけじゃなくて、文法も。
文法書もたくさん出ているけど、例えば有名な『Grammar in Use マーフィーのケンブリッジ英文法』とかは、英語の世界の全体像を把握するのには適していません。
文法書は、本選びをしてあげて、一冊の中でも読む順序を指示してあげたほうが、読み手が「今何を理解しようとしているのかが分かる」し、取り組む時間も圧倒的に短くできます。
このように、英語コーチは生徒さんを励ますためのものではなく、自分の経験を基に、よりよい学習方法に導いてあげるためのものだと思います。
もちろん、ある程度学習時間が必要なのは、分かります。
けれど1日1時間くらい時間が取れれば、あとは、学習の技術で解決してあげるコーチでありたい。
そのために、私たちは参考書を何冊も読み比べて、その良し悪しと向き不向きを考えます。たくさんの英語のスピーチや映像を見て、リスニング教材も難易度別にたくさんストックしています。
コーチが時間を使うことで生徒さんの時間を節約する、というのがあるべき英語コーチングだと思います。