vol.11 英語 - 暗記の学問
英語は「暗記の学問」であってはいけません。暗記の学問というのは、フレーズを覚えて、覚えたフレーズで会話をしていく勉強の仕方のこと。
書店に行って、一番多く並べられている英語教材の一つがフレーズ集です。
『これだけ日常会話』『ビジネスシーンで使うフレーズ 500』『子育てに役立つ英語フレーズ』
山ほどあります。
単語帳も、TOEICや英検、ビジネスシーン単語帳など、テストの種類やシチュエーションに応じた種類が発売されている。
そして、英会話教室で教えてくれるものも、多くがシチュエーションごとのフレーズです。
「今日は旅行に行った時の会話をやってみましょう。」「ビジネスシーンの挨拶の仕方をやりましょう。」
シチュエーションで区切って、その場その場の会話を学んでいく。
今の日本には、これだけ英語の暗記を勧めるツールが広まっているのだと思うと、なんだかすごい。すごいを通り越して恐いなとも思います。
確かに、いくつもの場面を経験していくことで、全体として話せるようにはなってきます。けれどそれは、自分の言葉で話しているかというとそうではなくて、どこかで覚えてきたフレーズを当てはめながら会話をしているだけのこと。
それだけ続けていても、核になる英語の知識が育たなくて、「自分はどこに行っても英語で会話ができるぞ」という自信はいつまで経っても付きません。
フレーズやシチュエーションというのは、肉みたいなもので、それを支える骨が必要。基礎が必要だと思います。
英語を話す基礎としておすすめしたいのは、「パターンプラクティス」と呼ばれる練習です。1つの文型を覚えたら、それ1つを使っていろんなことを言ってみる。
例えば、put A in B(A を B に入れる)を覚えたら、
put milk in coffee(ミルクをコーヒーに入れる)
put sugar in coffee(砂糖をコーヒーに入れる)
put him in his bed(彼をベッドに入れる)
書いて覚えるのではなく、生徒さんに口に出させるのも大事。頭の中で文を組み立てられるようにしていきます。
次は in → on に変えて put A on B(A を B にくっ付ける)
put a button on my shirt(ボタンをシャツに付ける)
put a button on my bag(ボタンをかばんに付ける)
put cream on my hand(手にクリームを塗る)
何個か紹介する中で、1つ2つ「こんな使い方もできるのか!」という驚きを入れてあげるのがポイントです。
そして、put in などの文型だけでなく、文法からもいくつもパターンを作っていく。
この練習は、自分で文法を応用する力を伸ばしてくれます。
フレーズを覚えることよりも、基礎を身につけることが大切なのは分かった。
では、コーチング系の英語スクールなら大丈夫かというと、気をつけましょう。
コーチング系スクールがコミットしているのはたいてい「英語の勉強時間について」です。
だから、体験レッスンに行くと、「英語の勉強は1日3時間やってください。内訳は、単語帳が1時間、オンラインでの会話が1時間、文法の勉強が1時間です。」みたいなことを言われたりしますが、これも単純に「暗記の学問」としての英語を強要されているだけでしょう。
あなたの行っているコーチング、「暗記の学問」になっていませんか?