今回は、「シャドーイングのやり方」をまとめた記事です。
シャドーイングは、リスニング力を伸ばす効果的な勉強法ですが、正しいやり方で行わなければ、期待した結果が出ないこともあります。
弊社の英語コーチングで、実際に指導しているやり方を解説します。
はじめて1 ~ 2週間で効果を実感でき、1ヶ月ほど継続すると「以前よりも英語がはっきりと聞こえるようになった」と感じられる学習方法です。
「シャドーイング = shadowing」は、リスニングの勉強方法の1つです。
シャドーイングでは、聞こえた英語の後を影になったようにぴたりと追いかけて、自分も発音を行います。
1. テキストを見ないで英語を聞く。
2. 聞こえた英語を、後に続いて発音する。
3. テキストで言えなかった音を確認して、発音を確かめる。
4. スムーズに言えるようになるまで繰り返す。
シャドーイング学習は、発音をしないといけない分、通常のリスニングよりも難易度が高くなります。
ぴたりと後ろを追いかけることで、英語を高速で理解する力が身についたり、聞こえていない音を的確に見つけ出すことが可能です。
シャドーイングと似た勉強法に「ディクテーション」があります。
ディクテーションは、聞こえた英語をノートなどに書き取っていく学習方法です。
一通り聞き終えたあと、書き取ったノートと答えを照らし合わせることで、自分がどこの部分を聞き取れていなかったのかを確認することができます。
ディクテーションは、英語を聞いている間はリスニングに集中でき、英語を聞き取りやすいメリットがあります。
一方、何度も再生を繰り返すため、学習時間が長くなってしまうデメリットもあります。
シャドーイングとディクテーションを比較すると、以下のような違いがあります。目的に合った方法を選びましょう。
シャドーイング | ディクテーション | |
---|---|---|
聞こえない発音を 見つけられる |
○ | ◎ |
英語の処理スピードアップ | ◎ |
△ 何度も聞き直すので効果薄 |
学習時間・効率 | ○ |
△ 聞き直しに時間かかる |
リスニングの勉強法は、他にもいくつかの種類があります。特徴や選び方をこちらの記事で比較しました。合わせて参考にしてみてください。
関連記事:【英語リスニング】6つの勉強法を徹底比較!
初心者がリスニングの練習をすると、「どの単語が聞こえていないのか、そもそも分からない」ことがあります。
シャドーイングを行ったときに「言えない単語」は、あなたが「きちんと聞こえていない単語」です。
聞こえていない単語を見つけられれば、その単語だけを集中的にリスニングして、苦手な発音を克服することができます。
シャドーイングでは、聞こえる英語を追いかけて発音していくことで、「英語を追いかけるスピード」が向上します。
リスニング学習というと、発音のことに意識が向いてしまう人も多いですが、正しい発音を覚えるだけでは英語を聞き取れるようにはなりません。
「シャドーイング専用の教材」というものはなく、基本的にはリスニング学習と同じ教材を使います。
リスニング教材であればどんなものでも行うことが可能ですが、学習効果を高めるためには、ご自身のリスニング力に合った教材を選ぶことが大切です。
・リスニングの参考書
・TOEICなどのテスト問題
・英語の映画・ドラマ
シャドーイング学習を、難しい教材で行うことはおすすめしません。
難しい教材でシャドーイングを行うと、聞こえない英語があるたびに発音を調べるため、学習のペースがゆっくりになってしまいます。
シャドーイング学習は、1回目に聞いたときに80%くらい理解できる教材で行うのがちょうどよい難しさです。
弊社の英語コーチングでも使用しているシャドーイング教材です。
中学校レベルの非常にゆっくりな英語から始まって、チャプタが進むにつれて徐々にスピードアップしていく構成になっています。
ケニア、フランス、インドネシアなど、英語が母国語ではない人が、英語で話したインタビューが収録された教材です。
ネイティブの英語でない分、会話のスピードがゆっくりで、初心者にも丁度よい速度の英語を聞くことができます。
ここでは紹介しきれないおすすめシャドーイング教材について、以下の記事で解説しています。
関連記事:【サンプル音源あり】シャドーイング - レベル別おすすめ教材14選
ここからは、実際のシャドーイングのやり方を解説します。
対象の音声を一度聞きます。(英文は見ません)
その際に、以下のことをチェックしましょう。
・文章のおおよその内容
・聞こえなかった単語の位置
聞き終わったら音声を止めて、分からなかった単語の意味と発音をチェックしましょう。
音声を聞いて、聞こえた英語を発音していきます。
このときに「言えない単語」があれば、それは、あなたが「きちんと聞こえていない単語」です。
一度再生を止めて、③ 発音確認に進みましょう。
「聞こえない単語」の発音を確認します。
英語は、発音しない文字があったり、前後の単語とくっついて違う音に聞こえることがあります。これを、「英語の発音変化」と呼びます。
発音変化を知らないままだと、3分の1くらいの英語は聞こえなくなってしまいます。英語は、それほどに発音が変化する言語です。
↓ 再生して、発音を確認しましょう。
代表的な発音変化については、以下の記事でまとめています。参考にしてみてください。
関連記事:【英語発音ランキング】日本人が聞こえない発音一覧をまとめました。
発音確認が終わったら、アタマに戻って仕上げのシャドーイングを行います。
聞こえない発音の確認ができていれば、すらすらとシャドーイングできるようになっているはずです。
ここまでの① ~ ④までの流れを、教材の長さにもよりますが、目安としては 5分 ~ 10分で完了できると良いでしょう。
ここからは、シャドーイング学習者が、抱えることの多い疑問に回答していきます。
A: 全く問題ありません。
初心者でも、シャドーイングを正しく行えば、リスニング力アップが期待できます。
初心者がシャドーイングに取り組むときは、以下のポイントで教材を選ぶと良いでしょう。
・英語のスピードがゆっくりなものを選ぶ
・使われている単語が、多すぎないものを選ぶ(3,000単語が目安です)
A: 英語は、書かれている通りに発音されないこともあります。
英語の発音変化を学ぶと、はっきり聞き取れるようになるでしょう。
とくに、T・L・TH・R・W は、苦手な人が多い発音です。
こちらの記事でまとめていますので、チェックしてみてください。
関連記事:【英語発音ランキング】日本人が聞こえない発音一覧をまとめました。
A: 口が早く動かないからといって、「言おう言おう」と焦ってしまうと、逆効果になることがあります。
良くない例は、テキストを何度も音読して、口を動かす練習をすることです。
音読を繰り返すと、英文を覚えてしまいます。それで言えるようになったとしても、数日すれば、同じ英語がまた聞こえなくなっているはずです。
口が回らないとき、本当の理由は「英語がしっかり聞こえていないから」であることが多いです。
英語の発音がどのように変化しているかを、もう一度よく聞いてみるのがおすすめです。
A: シャドーイングを始めたてのころは、自分がしっかり発音できているか、心配になることもあるでしょう。
しかし、録音をしたり他の人に聞いてもらうよりも、自分のシャドーイングを判断できるようになるほうが大きなメリットがあります。
シャドーイング中に、
「あっ言えなかった」
「今なんて言った?」
と感じることがあれば、その感覚を大事にして、一度止まりましょう。
聞こえなかったときに止まって、「なぜ聞こえなかったか?」を確認することが、良いシャドーイング学習のポイントです。
シャドーイングを何度やっても上手くできない方は、英語コーチングの受講も検討してみてください。
シャドーイングや発音の改善点を的確に指摘し、英語が聞こえるようになるまでサポートしてもらえます。
ここまで、シャドーイングのやり方や教材について解説してきました。
シャドーイングを行うときは、以下のことを意識すると効果がUPします。
・80%聞こえる教材を選ぶ
・聞こえない単語をそのまま放置しない
・聞こえない単語を見つけたら、発音がどう変化しているかを調べる
・何度も繰り返して答えを覚えない
一度シャドーイングができるようになると、英語をクリアに聞き取る感覚も分かるようになります。
すると、その先のリスニング学習も効果的に進められるようになります。はじめは慣れない勉強法かもしれませんが、出来たときには大きなリターンもあります。がんばりましょう!
記事を読んで、「自分には難しそう」と感じた方は、ぼくらの英語コーチングの受講もご検討ください。シャドーイング、英語の発音変化など、英語が聞こえるようになるまでを総合的にサポートしています。