「シャドーイング」という学習方法をご存知ですか?
シャドーイングは、英語のリスニング力を伸ばすのにとても有効な勉強法です。
弊社の英語スクールでもシャドーイングを取り入れた指導を行っていますが、多くの方が英語をクリアに聞き取れるようになり、早いスピードの英語にもついていけるようになっています。
しかし、
「シャドーイングをやってみたけれど、正しいやり方が分からなかった」
「英語が早すぎてついていけなかった」
といった声も聞こえてきます。
シャドーイングは正しいやり方と教材で行わなければ、期待した効果が出ないこともあります。
そこで今回は、教材の選び方から学習方法まで、弊社の英語スクールでお伝えしているシャドーイング学習の方法を1つの記事にまとめました。
英語を聞き取れるようにしたい人、シャドーイングに取り組んでみたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
「シャドーイング = shadowing」は、リスニングの勉強方法の1つです。
シャドーイングでは、聞こえた英語の後を影になったようにぴたりと追いかけて、自分も発音を行います。
↓ シャドーイングは、こんな感じです。
シャドーイング学習は、発音をしないといけない分、通常のリスニングよりも難易度が高くなります。
ぴたりと後ろを追いかけることで、英語を高速で理解する力が身についたり、聞こえていない音を的確に見つけ出すことが可能です。
シャドーイングの詳しいやり方は、この後解説します。
シャドーイングと似た勉強法に「ディクテーション」があります。
ディクテーションは、聞こえた英語をノートなどに書き取っていく学習方法です。
一通り聞き終えたあと、書き取ったノートと答えを照らし合わせることで、自分がどこの部分を聞き取れていなかったのかを確認することができます。
ディクテーションは、英語を聞いている間はリスニングに集中でき、英語を聞き取りやすいメリットがあります。
一方、何度も再生を繰り返すため、学習時間が長くなってしまうデメリットもあります。
ディクテーションもリスニング学習に取り入れられることが多い学習方法です。
比較すると、以下のような違いがあります。目的に合った方法を選びましょう。
シャドーイング | ディクテーション | |
---|---|---|
聞こえない発音を 見つけられる |
○ | ◎ |
英語の処理スピードアップ | ◎ |
△ 何度も聞き直すので効果薄 |
学習時間・効率 | ○ |
△ 聞き直しに時間かかる |
リスニングの勉強法は、他にもいくつかの種類があります。特徴や選び方をこちらの記事で比較しました。合わせて参考にしてみてください。
関連記事:英語リスニング | 7つの勉強法をまとめて比較!【英語コーチが解説】
ここからは、シャドーイングがリスニング力UPに効果的な理由を見ていきます。
初心者がリスニングの練習をすると、「どの単語が聞こえていないのか、そもそも分からない」ことがあります。
シャドーイングは、このような状態を解決するのに適しています。
シャドーイングを行うと、1つの文章の中でも「言えない」と感じる単語がいくつも出てくるでしょう。
この「言えない単語」こそが、あなたが「聞こえていない単語」です。
聞こえていない単語を見つけられれば、その単語だけを集中的にリスニングして、苦手な発音を克服することができます。
自分が苦手としている発音だけを練習できるため、通常のリスニング学習よりも効率よく英語が聞こえるようになっていきます。
シャドーイングでは、「英語を追いかけるスピード」も向上します。
リスニング学習というと、発音のことに意識が向いてしまう人も多いですが、正しい発音を覚えるだけでは英語を聞き取れるようにはなりません。
短い英文なら発音を学ぶだけでも対応できますが、実際の会話になると「英語を追いかけるスピード」が必要になります。
実は、「英語を追いかけるスピード」は、通常のリスニング学習では思うように身につきません。
シャドーイングで、音声に合わせて自分も発音することで、効率よく伸ばすことが可能です。
「シャドーイング専用の教材」というものはなく、基本的にはリスニング学習と同じ教材を使います。
リスニング教材であればどんなものでも行うことが可能ですが、学習効果を高めるためには、ご自身のリスニング力に合った教材を選ぶことが大切です。
・リスニングの参考書
・TOEICなどのテスト問題
・英語の映画・ドラマ
・英語のYouTube
シャドーイング学習は、はじめから難しい教材で行うことはおすすめしません。
英語のドラマや映画などの高難易度の教材には、知らない単語や文法が多く含まれます。
難しい教材でシャドーイングを行うと、英語の意味や発音を調べるだけで多くの時間がかかってしまい、シャドーイングの学習になかなかたどり着けません。
(英語の意味が分からないままシャドーイングを行っても、効果はありません)
シャドーイング学習は、1回目に聞いたときに80%くらい理解できる教材で行うのがちょうどよい難しさです。
弊社の英語コーチングでも使用しているシャドーイング教材です。
中学校レベルの非常にゆっくりな英語から始まって、チャプタが進むにつれて徐々にスピードアップしていく構成になっています。
ケニア、フランス、インドネシアなど、英語が母国語ではない人が、英語で話したインタビューが収録された教材です。
ネイティブの英語でない分、会話のスピードがゆっくりで、初心者にも丁度よい速度の英語を聞くことができます。
ここでは紹介しきれないおすすめシャドーイング教材について、以下の記事で解説しています。
関連記事:【レベル別】シャドーイングのおすすめ教材14選。自分に合った教材を見つけよう!
ここからは、実際のシャドーイングのやり方を解説します。
対象の音声を一度聞きます。(英文は見ません)
その際に、以下のことを確認しましょう。
・文章のおおよその内容
・聞こえなかった単語の数と位置
聞き終わったら音声を止めて、分からなかった単語の意味と発音をチェックしましょう。
シャドーイング本番です。
音声を聞いて、後に続いて発音していきます。
「言えない単語 = 聞こえない単語」です。一度再生を止めて、③ 発音確認に進みましょう。
「聞こえない単語」の発音を確認します。
一度聞いただけでは分からないことがあるため、そこの部分だけを5回ほど繰り返して聞くのがおすすめです。
このときに、発音しない文字があったり、前後の単語とくっついて違う音に聞こえることがあるので注意しましょう。
英語発音の変化は「リエゾン」や「リンキング」と呼ばれており、ある程度のパターンがあります。
こちらの記事で詳しく解説しているので、気になる方はチェックしてみてください。
関連記事:【英語発音ランキング】日本人が聞こえない発音一覧をまとめました。
発音の確認が終わったら、② シャドーイングに戻りましょう。② と ③ を繰り返します。
すべての発音確認が終わったら、アタマに戻って仕上げのシャドーイングを行います。
聞こえない発音の確認がしっかりできていれば、すらすらとシャドーイングできるようになっているはずです。
ここまでの① ~ ④までの流れを、教材の長さにもよりますが、目安としては 5分 ~ 10分で完了できると良いでしょう。
「シャドーイングが全くできない!」と感じる人は、NHKのニュースなどを使って、一度日本語でシャドーイングをやってみましょう。
日本語でのシャドーイングは、日本人であれば、ほぼ100%の人が一発でできるはずです。
いかがだったでしょうか?
この感覚が、シャドーイングを英語で行うときのゴールとなります。
シャドーイングを行うには、以下の能力が必要となります。
・発音への慣れ
・単語の知識
・内容を理解する処理スピード
シャドーイングが日本語でできて、英語だとできなくなってしまう理由は、上記の能力のどれかが足りていないからです。
知らない単語があったのか、聞こえない発音があったのかなど、シャドーイングができなかった原因を見つけて、克服していきましょう。
英語が上手く聞き取れない場合は、英語の「発音の変化」を学びましょう。
特に、「リンキング」と呼ばれる、英語の音の繋がりを学ぶのが効果的です。
some of the →「サマダ」
at the zoo →「アッダズー」 など
(便宜上、カタカナにして表しています)
多くの日本人が聞き取れない発音を、以下の記事にまとめました。合わせて参考にしてみてください。
関連記事:【英語発音ランキング】日本人が聞こえない発音一覧をまとめました。
「英語のスピードが早すぎてついていけない!」という場合には、遅れてしまったときに一時停止するのも一つの方法です。
この方法は、特に「聞こえているけれど、口が遅れてしまう」という課題の人におすすめの方法です。
シャドーイングが遅れたときに、全部やめにしてしまうと成長はありませんが、止めながらでも学習を続けることで、徐々に英語のスピードに対応できるようになっていきます。
シャドーイングが上手くできないからといって、何度も何度も、その文章を覚えるほどに繰り返して練習をするのはやめましょう。
確かに繰り返し練習を行えば、結果的にシャドーイングができるようになるかもしれませんが、それは、英語が聞こえるようになったのではなく、覚えているから言えているだけに過ぎません。
シャドーイングを何度やっても上手くできない方は、英語コーチングの受講も検討してみてください。
シャドーイングや発音の改善点を的確に指摘し、英語が聞こえるようになるまでサポートしてもらえます。
ここまで、シャドーイングのやり方や教材について解説してきました。
シャドーイングを行うときは、以下のことを意識すると効果がUPします。
・80%聞こえる教材を選ぶ
・聞こえない単語をそのまま放置しない
・聞こえない単語を見つけたら、発音がどう変化しているかを調べる
・何度も繰り返して答えを覚えない
一度シャドーイングができるようになると、英語をクリアに聞き取る感覚も分かるようになります。
すると、その先のリスニング学習も効果的に進められるようになります。はじめは慣れない勉強法かもしれませんが、出来たときには大きなリターンもあります。がんばりましょう!
記事を読んで、「自分には難しそう」と感じた方は、ぼくらの英語コーチングの受講もご検討ください。シャドーイング、英語の発音変化など、英語が聞こえるようになるまでを総合的にサポートしています。